経営のツボ Vol.2
学んだノウハウ活かしきれていますか?
生み出さないこともよくご存知でしょう。会社が儲かるか儲からないかは、ノウハウを知っているかどうかではないのです。
ノウハウを学んだ人たちが全員儲かっているかというと、そうではありません。そこで今回は、中小企業がノウハウを使って収益を増やすにはどうすればいいかについてお話しさせていただきます。
まず、ノウハウを学んでもうまくいかない理由について説明します。ノウハウを学んでも成果につなげられない人は、さまざまなノウハウを得てパッチワーク状に貼り付けるだけで、それを自分向けにカスタマイズせずに、ノウハウに縛られてしまっています。そうではなく、ノウハウを自分のわかる言葉に解釈して実践することが大事です。
ノウハウを使って儲けるには、戦略から考えることが不可欠。とりあえず「戦略」をイメージしてみましょう。
今、自分が誰かと戦っていると想像してみましょう。武器はなし。徒手空拳です。敵は前方に一人。ピストルを持っています。まだ、こちらに気づいていません。あなただったら、この状況をどう戦いますか?
「戦略」とは、プランや思考、アイデアにあたります。「回り込んで後ろから攻める」「石を拾って武器にする」「仲間を増やす」「夜、寝ているところを襲う」「あきらめて退散する」。この場合、いろいろなアイデアが思い浮かぶでしょう。
できるだけ情報を集めて、じっくりと敵や仲間や地形のことを考える。敵よりも深く作戦を立てればうまくいきます。戦略とはこんな思考のゲームやアイデアを指すのです。現実の中小企業の経営は、今挙げたような状況よりも、もっと不利なのかもしれません。
私の知人の、興味深い事例を紹介します。「妻の手が空いているので一緒にガーデニング教材の事業を始めたい。どんなキャッチコピーがいいか?」と相談を受けました。
一時期流行したガーデニングですが、当時はすでに成熟期に入っていました。流行した当初は皆が初心者なので、教材は飛ぶように売れました。しかし、成熟期には皆が中級レベルに達しています。中級者はある程度趣味として楽しめているから、今さら学びたいとは思いません。まさに教材の必要性も需要もない。パイは大きいけれど、教材販売の可能性は考えられない状態でした。
「教材の需要を高めるにはどうすればいいか」と知人が編み出したのは「中級者を先生に仕立てる」こと。中級者のなかには、人に教えることが好きな人もいます。そんな人に「教え方のノウハウ」を説明した教材を売るのです。周囲の人に教えて感謝されると「私は生きていてよかった」と欲求が高まります。このあたりまで考えてこそ戦略なのです。
ビジネスは商品とターゲットの選定が大きなポイントです。それをあまり考えずに、人目を引くキャッチコピーだけ決めて売ろうとしても「いらないものはいらない」と相手にされず、商品は売れないでしょう。
必ず失敗する2つのノウハウ
ここで、失敗するノウハウについて2点お話しします。ひとつめは「刈り取るための方法論に徹してしまう」ことです。
例えば「先着10名様」「明日まで」といった「限定」をうたったキャッチコピーは、チラシやメルマガ、Webサイトでの反応率がぐんと上がります。しかし、この「限定」は諸刃の剣。「商売っ気が多い」「自分の利益ばかり追求している」という印象がぬぐえません。売ることだけに力を注ぐと失敗します。
例えば、自社の商圏が100人の村で、見込客になってくれた人が30人いたとします。その場合、この30人とどう付き合い、彼らのために今後どのような事業を展開すべきかを考えなければなりません。
もうひとつは「コントロールするためのマネジメントに傾倒する」ことです。経営者や幹部がいいノウハウを見つけてくると、それを試そうと部下をあれこれとコントロールしようとするケースがよくあります。これを「エゴ」といいます。エゴに基づいたマネジメントは必ず失敗します。エゴは誰にでも存在するもの。一方で「人をコントロールするのは大好きだけど、人にコントロールされるのが大嫌い」という困った性質を持っています。これが商売を破たんに追い込む悪人の正体なのです。
マネジメントに失敗している企業では、多くの社員が新たなアイデアを生み出す発想を失っています。ルーチンワークは上手にこなすけれど「発想しろ」というと思うようにいかない。これは、マネジメント上の問題が思考をストップさせているのです。マーケティングを考える
株式会社ワコルダー 代表取締役 吉井亮介氏
大企業のビジネスパーソンの能力開発では日本屈指のコンサルティング会社、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド社を経て2005年、経営コンサルタント神田昌典氏の会社、アルマックに入社。最高マーケティング責任者(CMO)就任。毎月開催するマーケティング&コピーライティングのセミナーは毎回満席。クライアントから「徹夜組の出る幼稚園」をはじめ非常識な成果が続出。能力開発とマーケティングの実践的理論を修めた「経営と人間成長のプロフェッショナル」として2007年独立。
[2007年12月12日] 経営のツボ


